空き家処分・実家整理

空き家の相続放棄は意味がない?管理義務が残るリスクと有料引き取りで安全に手放す方法

公開日: 2026年7月13日 監修: 負動産リサイクルセンター 専門家チーム

親から相続した古い実家や空き家。「誰も住まないし、売ることもできないから相続放棄してしまおう」と考えている方が非常に増えています。

しかし、家庭裁判所で相続放棄の手続きを済ませれば、空き家に関するすべての責任から解放されるというのは大きな誤解です。法的に「管理義務(保存義務)」が残り続け、もし空き家が倒壊して隣家や通行人にケガをさせた場合、高額な損害賠償を請求されるリスクが残ってしまいます。

この記事では、2023年4月に改正された最新の民法を踏まえた相続放棄の盲点と、管理責任を完全に断ち切るための「有料引き取りサービス(負動産リサイクル)」という選択肢を比較して分かりやすく解説します。

1. 相続放棄をしても空き家の責任が残る理由

相続放棄とは、最初から相続人ではなかったものとみなされる手続きです。これにより、預貯金などのプラスの財産だけでなく、借金や不要な空き家といった「マイナスの財産」も引き継がずに済みます。

しかし、民法第940条では以下のように規定されています。

民法第940条(第1項)
相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一 of 注意をもって、その財産を保存しなければならない。

つまり、「あなたが放棄したことで、次に相続人になる人がその空き家を引き継いで管理できるようになるまでは、引き続きあなたが責任を持って空き家を安全な状態で維持しなさい」ということです。相続放棄をしたからといって、鍵を放置して一切関わらないでいると、法律上の「保存義務(旧:管理義務)」を怠ったとみなされ、被害が発生した際に賠償責任を問われます。

2. 2023年民法改正による「保存義務」の新しい基準

2023年4月1日の民法改正により、相続放棄をした人の責任範囲が一部明確になりました。

法改正によって、「相続放棄の時にその財産を現に占有している(実際に支配・管理している)とき」に限り、次の管理者が決まるまでの保存義務を負うことになりました。

例えば、親と同居していた実家を相続放棄する場合や、親が亡くなった後に自身で実家の鍵を管理し、定期的に空気の入れ替えや荷物の整理を行っていた場合は、「現に占有している」とみなされ、保存義務が発生する可能性が極めて高くなります。逆に、何十年も訪れておらず物理的に支配していない実家であれば保存義務を免れる可能性はありますが、法的な判断基準は曖昧であり、近隣住民や自治体から管理を求める連絡が入った際にトラブルに発展するケースは絶えません。

3. 相続放棄によって生じる隠れたリスクと費用負担

空き家の保存義務を完全に終わらせるためには、家庭裁判所に申し立てて「相続財産清算人(旧:相続財産管理人)」を選任してもらう必要があります。

しかし、これには重大な金銭的ハードルがあります。

  • 高額な予納金が必要:相続財産清算人を動かすための経費(弁護士や司法書士への報酬)として、申立人が数十万〜100万円程度の予納金を裁判所に納めなければなりません。不要な不動産から逃れるために、これほどの現金を手出しするのは本末転倒と言えます。
  • 勝手な片付けや解体は違法:相続放棄をする前であっても、実家内の高価な遺品を売却したり、建物を独断で解体したりすると、「単純承認(相続を認めたこと)」とみなされ、相続放棄そのものができなくなります。

4. 比較で分かる:相続放棄 vs 民間有料引き取り(負動産リサイクル)

国や裁判所を介した手続きに代わり、近年注目されているのが民間の有料引き取りサービス(負動産リサイクルセンター)の活用です。

相続人全員で一度相続登記(名義変更)を行い、その上で有料で民間事業者に引き取ってもらう手法と相続放棄の違いを以下の表にまとめました。

比較項目 相続放棄 負動産リサイクル(有料引き取り)
名義の移転 できない(他者への責任転嫁) 完全に移転可能(名義が消える)
管理・賠償責任 次の管理者が決まるまで残る 引き取り完了時点で完全消滅
手続き期間 数ヶ月〜1年以上 最短1〜2週間で完了
トータル費用 予納金等で数十万〜100万円以上 引き取り費用のみ(追加費用なし)
家の中の荷物 勝手な処分は単純承認の罠あり 荷物丸ごとそのままで引き取り可能

当窓口(負動産リサイクルセンター)では、単に不動産を引き取るだけでなく、引き受けた空き家を適切に清掃・管理し、地域のコミュニティスペースや賃貸住宅、シェアハウスなどとして有効リサイクルする体制を整えています。これにより、社会問題となっている放置空き家を減らし、次の世代に良好な地域環境を受け継ぐことができます。

5. まとめ:管理義務の泥沼から最短で抜け出すために

空き家を相続放棄することは、一見すると一番手軽な逃げ道に見えますが、実際には管理責任が残り続けたり、裁判所への高額な予納金が発生したりと、非常に多くのリスクを孕んでいます。

「親の実家を自分の代できれいに手放したい」「子供や孫に負の遺産と管理責任を回したくない」とお考えであれば、相続人として名義を引き継いだ上で、信頼できる民間引き取りサービスへ売却・引き渡しを行うのが最も安全かつ迅速な解決策です。

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